16 鷧斎日録

 現存九冊、自筆稿本。天明七年(一七八七)玄白五五才の正月より文化二年(一八〇五)三月廿五日七三才に至る間の自筆の日記である。うち寛政五年(一七九三)九月より同七年五月に至る一冊は現在失われていて、現存数は九冊。毎冊約五〇枚の罫紙けいしを綴じて褐色の表紙を附し任意に書き継いでいる。表紙は自筆で「鷧斎日録」とあり、全部で何冊書かれたものか判らない。恐らく若年から生涯を通じて書かれたものであろう。玄白はすこぶる几帳面な性格で、毎日の出来ごとを細かく日記につけていた。句あり歌あり詩あり、世上の風聞や患家のことまで細字で記されているので玄白晩年の日常生活を知る貴重な史料である。この日記は長く杉田家の筺底きょうていに埋れ虫害が甚だしかったが、昭和十年に原田謙太郎氏により再発見され修理が加えられた。全文は昭和十九年に「杉田玄白全集」第一巻として公刊された。この日記によって玄白の真の姿を解明することができる。杉田秀男1)氏の秘蔵にかかる。

 

(注)

1)杉田秀男 杉田玄白の六代目の子孫、杉田六蔵(前述)の子息、医学者(進行性ジストロフィーに関する研究)

杉田玄白の著述
はじめに
(一)著述
1 瘍科大成
2 広瘡総論
3 解体約図
4 解体新書
5 狂医之言
6 的里亜加纂稿
7 大西瘍科書
8 乱心廿四条
9 後見草
10 和蘭医事問答
11 養生七不可
12 鶴亀の夢
13 形影夜話
14 玉味噌
15 野叟独語
16 鷧斎日録
17 鷧斎遺稿
18 和蘭事始
19 耄耋独語
20 天真楼試功方
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