10 和蘭医事問答

 二巻、寛政七年(一七九五)刊。奥州一関の藩医建部清庵たけべせいあん(名は由正よしまさ)は弟子の衣関甫軒きぬどめほけんが江戸に出る時、年来疑いをもっていた事項をまとめた質問書を明和七年(一七七〇)に託した。それがたまたま玄白の手に入り「解体約図」を添えて返書を送ったのは安永二年(一七七三)正月のことであった。そののちも質疑応答がおこなわれ、両人の仲は親密になったが生涯ついに対面の機はなかった。この往復文書は蘭学の初学者によい参考となるので、「蘭学問答」とか「瘍医問答」と題されて伝写されていたが、のちに清庵の五男で玄白の娘扇と結婚して養子となった伯元が、伝写の誤りと労を省くため校訂して上木じょうぼく1)したものが本書である。「紫石斉蔵刻目録」には、後編続編ついで出すとあって、両人の質疑応答は本書に収められた二度だけでなく、何通かの書状があったらしいが今はすべて伝えられない。「文明源流叢書」第二巻に収載されて広く流布している。

 

(注)

1)上木 書物を出版すること

杉田玄白の著述
はじめに
(一)著述
1 瘍科大成
2 広瘡総論
3 解体約図
4 解体新書
5 狂医之言
6 的里亜加纂稿
7 大西瘍科書
8 乱心廿四条
9 後見草
10 和蘭医事問答
11 養生七不可
12 鶴亀の夢
13 形影夜話
14 玉味噌
15 野叟独語
16 鷧斎日録
17 鷧斎遺稿
18 和蘭事始
19 耄耋独語
20 天真楼試功方
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