養生七不可指南書 序文

テーマ:序文

理事長 小西淳二特例認定NPO法人杉田玄白・小浜プロジェクト

現在、我が国は世界でも例をみないほど急速に少子高齢社会を迎えています。この時代には、単に寿命を伸ばすのみならず、健康で自立した生活ができる「健康寿命」を伸ばすことが大切になってきました。 自分で行う身体のケア「養生」と云えば、江戸時代初期の植物学者、儒学者の貝原益軒かいばら えきけん(1630-1714)の「養生訓」(...

ミルクのある生活

テーマ:

平田 昌弘帯広畜産大学 教授

 ミルクは、人々の生活を1万年支えてきました。西アジアで家畜が飼われ始め、すぐに家畜からミルクを搾り始めます(写真1)。ミルクという食料生産のあり方を考えてみてください。肉は家畜を屠ることで得られます。しかし、ミルクは家畜を生かしたままで生産が可能です。しかも、毎日得られます。ここに、人類は搾乳という技術を発明すること...

三刀流の“スーパーな”必須微量栄養素“亜鉛”を養生七不可の教えに活用する

テーマ:

神戸 大朋京都大学大学院生命科学研究科

 杉田玄白先生の教えにちなんで小浜市が提唱している現代版養生七不可の一つに、「食べたもので自分ができているのを忘れるべからず」という心得があります。これは、健康長寿の秘訣である好き嫌いなく飲食することと直結します。すなわち、様々な食べ物を食べることによって、様々な栄養素をバランスよく摂取することが健康に生活するために重...

超高齢社会と認知症:生活習慣、特に「食」による認知症予防をめざして

テーマ:高齢

山田正仁国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 内科(脳神経内科)副院長;東京医科歯科大学 特命教授;金沢大学 名誉教授

1. 超高齢化と認知症  杉田玄白先生は68歳の時に長寿の秘訣として「養生七不可」の教えを提唱したといわれています。玄白先生の時代、平均寿命は30歳台でしたが、玄白先生は当時としては稀な84歳の長寿を全うされました。2020年、平均寿命は女性が88歳、男性が82歳になり、さらに寿命は伸び続け、半数以上の子供が100歳以...

「養生七不可」(杉田玄白) 現代語訳

資料:「養生七不可」現代語訳

中島嘉文

昨日非不可恨悔(昨日のことは恨んだり悔やんだりしない)  昨日は過去、たとえ少しの過ちでももちろんあらためることはできない。しかし、人はひとたび思いもよらぬ不幸に出逢い、目標を失って自分の意にまかせることができなくなると、心にこだわり、忘れることができず、いつまでも悔恨かいこんが続く。こうなると心が晴れず、愚かにも天寿...

キイワードは次世代

テーマ:

依藤 亨 (よりふじ とおる)大阪市立総合医療センター小児代謝・内分泌内科

 内分泌代謝学、特に新生児から若年成人までの医療を専門としています。増え続ける高齢者層に押されて、この年代層が占める割合はわが国では減少傾向にありますが、実は生物種としてのヒトには最も大事な時期です。出生して成長し、パートナーをみつけて次世代をはぐくみ、次世代がさらにその次の世代を生み出して生物種としてのヒトを維持して...

ポリファーマシーって言葉ご存じですか?

テーマ:

白波瀬 正樹杉田玄白記念公立小浜病院 薬剤部長

 皆さんはポリファーマシーという言葉を耳にされたことはあるでしょうか? 『多くの』という意味の『ポリ(poly)』と、『くすり(薬)、薬局』という意味の『ファーマシー(pharmacy)』の、2つの言葉から構成されています。そのまま読むと『多くの薬』となり、必要以上にたくさんの種類のお薬を飲んでいることを表しています。...

―がん患者がモンブラン登頂をめざす―
何故がん患者がモンブラン??

テーマ:運動

浜崎 博(はまざきひろし)京都薬科大学名誉教授

 運動やスポーツは人の健康にどのように関わるのでしょうか?  今回、重篤疾患を有する患者さんと運動、スポーツについて述べたいと思います。 1,心臓病のスポーツリハビリテーション  筆者は1982年から京大心臓リハビリチームの一員として虚血性心疾患(主に心筋梗塞、狭心症)の患者さんに対するリハビリテーション(以下リハビリ...

杉田玄白・前野良沢に見る自然と食

テーマ:

川嶌眞人(かわしま まひと)社会医療法人玄真堂 川嶌整形外科病院 理事長

 小浜藩の杉田玄白と中津藩の前野良沢らが協力して蘭書『ターヘル・アナトミア』を翻訳し、『解体新書』として出版したことから日本の蘭学が始まったと言われている。その根底の思想の中に、彼らは解剖学に注目し「人間も自然の一部である」と言うことから出発したように思える。日本文化の独自性として自然とは何であったのか、前野良沢(図1...

みんなで小浜を健康寿命トップの町に

テーマ:

家森幸男 (やもり ゆきお)武庫川女子大学教授

 コロナ禍の試練も3年目を迎え、まず自分が健康でなければ、他の人も健康にできない、健康づくりは皆が力を合わせる連帯作業だと学びました。この酷しい試練の先に明るい未来を拓く為に、今こそ小浜市をあげて健康長寿の町づくりをしましょう。  今から40年前の1982年、WHO(世界保健機関)は、初めて1日の食塩摂取の目標値を1日...

桜島大根で血管をしなやかに

テーマ:

加治屋勝子国立大学法人 鹿児島大学 学術研究院 農水産獣医学域農学系 准教授

 鹿児島県の伝統野菜である桜島大根は、よく見かける大根のように細長い形ではなく、カブのような丸く膨らんだ形をしています。だいたい8~12kg程度のものが出回っていますが、2003年に世界一大きな大根としてギネス認定された桜島大根は、重さが31.1kgもありました。よく見かける大根が1本1kg程度ですから、だいたい30本...

医食同源の科学的証明
ー特にコーヒーや緑茶のポリフェノールについてー

テーマ:

近藤(宇都)春美日本大学 生物資源科学部 くらしの生物学科 食と健康研究室 准教授

 光合成を行うほとんどの植物に含まれているポリフェノールは、カロテノイドやビタミンとともに主要な抗酸化物質として位置づけられ、動脈硬化やがんなどの病気の原因となる活性酸素を除去する抗酸化力を持っています。私たち人間は、これらの抗酸化物質を食事や飲み物を通して体内に取り込んでいます。中でもコーヒーと緑茶は日本人に馴染み深...

私たちの健康は私たちの手で

テーマ:

秦 榮子愛媛県新居浜市食生活改善推進協議会 会長

 平成19年度(2007年)に御市に於いて栄えある第6回杉田玄白賞を拝受し、心より深く感謝と厚く厚く御礼を申し上げます。以来「総ての人々が元気で長生きできますように」と、行政のご指導を受けながら、妊産婦、子供会、PTA、一般の人々を対象に、健康づくりボランティア活動一筋に続けてまいりました。     昭和55年に男性料...

予防栄養学の成果を食育に活かす
“適塩”で“まごはやさしい”食育で、より良い食環境の構築へ

テーマ:

森 真理東海大学健康学部 准教授、NPO法人 世界健康フロンティア研究会 理事、管理栄養士

 1996年、成人病が生活習慣病となり、「食習慣や運動習慣をより良くすることで、健康寿命を延伸することが可能である」ということが、多くの研究からわかってきました。そして、2005年に「食育基本法」が世界に先駆けて日本で施行され、全ての国民が積極的に食育を推進することになりました。  生活習慣病の予防は医学的な知見からの...

尿路結石を予防する「新・養生七不可」

テーマ:

郡 健二郎名古屋市立大学 学長

 多くの患者さんが悩む「尿路結石」の予防法を「食」の視点からお話しします。  尿路結石とは、腎臓・尿管・膀胱にできた結石の総称です。主な症状はお腹や腰の激痛と血尿です。わが国では男性の7人に1人が発症する高頻度の病気です。皆さんの周りにも結石の患者さんがおられることでしょう。しかも、結石を放置すると腎不全に至ることがあ...

トランスレーション医学研究50年―動物実験と臨床応用に介在する死の峡谷の克服

テーマ:

中尾 一和(なかお かずわ)京都大学名誉教授 京都大学医学研究科特任教授

 死の峡谷(Death Valley)とは、薬剤などの臨床応用を目指した開発研究において、動物実験などの基礎研究とその成果の臨床応用の間に存在する克服が極めて困難な種々の事象、例えば予期せぬ毒性や副作用、有効性における種差などのために、多くの開発研究が実用化に至らず中途で断念されることを「険しい山に囲まれて越えることが...

非正物不可苟食  日本型食生活の健康への役割

テーマ:

村田昌一(むらた まさかず)前 長崎大学水産学部教授

 近年、日本では高血圧、糖尿病、動脈硬化症、心臓疾患等の生活習慣病の患者さんが年々増加し、健康に老いることが難しい時代となってきました。この原因には穀類、豆類、野菜類、魚介藻類などのいろいろな食品の素材を使う日本型の食事組成(日本型食生活)から脂質、砂糖の含量が多く、畜肉類、乳製品主体の欧米人の食生活(欧米型食生活)へ...

けふの今こそ 楽しかりけれ

テーマ:

山村 修福井大学医学部 地域医療推進講座 教授

 江戸時代にもメンタルヘルス(こころの健康)の不調はありました。心の不調には環境変化が欠かせません。その対策は、今も昔も変わらないようです。では、具体的にどのような対策を取っていたのでしょうか。  厚生労働省の労働安全衛生調査(2020年)によると、過去1年間にメンタルヘルス不調を理由に連続1ヵ月以上休業者又は退職者が...

玄白先生と江戸の梅毒

テーマ:

山村 修福井大学医学部 地域医療推進講座 教授

 梅毒は細菌の一種である「梅毒トレポネーマ」によって発生する感染症で、性行為によって感染します。人類の存続に性行為は不可欠であることから、長く人類を悩ませてきた疾患でもあります。梅毒の起源は北米大陸とする「コロンブス説」が有名ですが、異説もあります。我が国最古の梅毒の記録は戦国時代真っただ中の永正9年(1512年)で、...

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