中津藩なかつはん

(大分県・中津市)

ターヘルアナトミアの訳者のひとり前野良沢(まえの りょうたく)は豊前国中津藩の藩医です。
解体新書の翻訳は良沢の住まいであった、江戸の築地鉄砲洲・中津藩中屋敷(現在の東京・聖路加国際病院)に良沢(49歳)玄白(39歳)小浜藩医・中川淳庵(33歳)が集まり、翻訳作業が始まりました。この翻訳がいかに大変だったかを世の中に知らしめるきっかけになったのは、幕末に湯島聖堂裏の露店で入手した玄白の書の写本を読んで感激した、同じ中津藩出身の慶応義塾創始者、福沢諭吉が1869年(明治2年)、これを「蘭学事始」の題名で出版したことでした。

現在、聖路加国際病院の前に「蘭学の泉はここに」と「慶応義塾発祥の地」の石碑が並んで立っています。

中津市には歴史民俗資料館分館-大江医家史料館に前野良沢をはじめ、江戸時代の医家に関する資料が展示されています。